いつものように、きらびかな極彩色に包まれ、しばらくすると、私は別の時代に降り立っていた
しばらく歩くと、そこには私の会いたい武術家がいた
彼は、街中で素手で複数人と喧嘩をしている最中だった。伝説通りの強さで、自分を囲む男たちを圧倒的な強さでぶちのめした彼に、私は話しかけた
私に技を教えてほしい、、、と
彼は、「技? 教える?」と怪訝な顔で私を見返し、「教えるとか技とかという感じではないんだがな~」と言い、それでも色々と教えてくれたのだった。その武術は現代にも伝わり、しかしその技の体系はスポーツ化され、華やかに見せ、人受けの良い動きや技が発展している、踊りのような武術になっている。それはそれで良いのだが、私は古来その武術がどうだったのか、いわゆる古武術の時代を見たかったのだ。それらは、現代のものとは異なり、地味でしかも狂気に満ちていて、獰猛でスポーツとはかけ離れた荒々しさがあった
いつしか私は彼の体に溶け込み、ぼんやりと地面に横たわり雲を眺めている
その瞬間、「あ!自分は刺されてここに横たわっている」ということが分かった。この武術家には敵も多く、最期は、特殊な木製のナイフで刺されて絶命したという
私の意識は彼の体に入っていたから、あたかも自分が刺されて雲を見ているかのように感じられる。ゆっくりと意識が遠のくその瞬間は、得も言われぬ気持ちよさで、死ぬ瞬間はこれほどまでに心地よいのかと、雲の動きがどんどんとゆっくりゆっくりやがてぴたりと止まったかのように、私の意識も彼から遠ざかっていくのが分かった
それから私は万里の長城のような城壁を飛んだり、行ったこともないある国の石畳を見ていたり、様々な情景をぼんやり眺めながらこちらの世界に戻ってきたのが分かった
果たして本当に彼だったのか、答え合わせは誰にもできない。しかし、彼の動きや教わったことを断片的につなげていくと、現代のその武術の動きがすべて説明できてしまうことに気づいた。また、後で見つけた古文書のなかにでてくる写真の動きや記述も、まさに彼に教わったものと、まったく同じだったのだ。加えて、同じ武術の流派を学ぶある古老を訪ねて教えを請うたところ、私がビジョンで見たのとまったく同じ動きや理論を教えてくれ、鳥肌が立ったものだ
私は、自分の記憶や少ない情報を元に、想像の世界で彼を作り出していたのか?
それとも、本当に彼の時代にトリップしていたのか?
アヤワスカが私をもてあそんでいたのか?
それは私にもわからない。けれども、アヤワスカを飲んで自分の死んだ家族に出会ったり、先祖から啓示を得た人も少なくない。おそらく、本当に会ったとか会っていないとかは問題ではなく、大切なのは、アヤワスカを飲んだその本人に降りてきた気づきそのものなのかもしれない
魔術としての幽体離脱は、コントロールがなかなか難しいというのが私の本音だが、アヤワスカでは、自分のテーマを抱いて臨むと、かようなビジョンも得られるという経験談として読んでもらいたい。また、優れたシャーマンや熟練した経験者になると、ビジョンを少しずつコントロールできるようになってくるという
ちなみによく知られていることだが、一部のアーティストや有名人が、「トリップ」でとてつもない変化や啓示を受けていることは知られている。DNAの二重らせん構造を発見したノーベル賞受賞者フランシス・クリック、アップル創業者スティーブジョブズ、マイク・タイソンなどなど
私は薬物を勧めているわけでは決してなく、成功者や発明者が、この次元を超えて知や情報を得ていることもあるということを知っておくことは面白いと考えている