カポエイラがほかの格闘技などとは一線を画しているユニークな点、それは音楽だろう
数種の楽器と、主にポルトガル語の歌をみんなで歌うのは、団体や指導者に関わらず共通している
音楽でボルテージを高めたり、音霊の力でアシェと呼ばれるエネルギーを呼んだり、また歌の歌詞や楽器のリズムでプレイヤーにメッセージを送るなど、様々な意味と役割がある
その点だけを取り上げても、十分にシャーマニックな観点が散りばめられているのだが、今日そこまで考えているカポエイラのプレイヤーは少ない
その証拠に、皆ほぼ暗記した歌を歌っていることがほとんどだ
日本人がなじみにくいのは、まさにこのポルトガル語の歌だろう
ほとんど耳にしたこともないポルトガル語の歌詞を覚え、それもリズムに合わせて歌わなければならない。なかなかの関門だ
上級者になればなるほど、歌のレパートリーも増やしていかなければならない
暗記力も含め、動きや技の習得に加え、楽器も歌も、と…、器用な人でなければなかなかモノにならない。だから、カポエイラ使いを「トータルアーティスト」と呼ぶ人もいる
しかし、その歌のルーツをたどっていくと、暗記した歌を歌っていたとはいいがたい
同様に、カポエイラが「踊っているかのような格闘技」と揶揄?評価?される点にもつながってくる
つまり、歌も動きも、そもそもはセレモニーという設定があり生み出されていたもので、カポエイラはその名残を寄せ集め発展していったと考えるのが妥当であると私は考えている
セレモニーとは、現代風に言えば宗教的なもの、スピリチュアルなもの、精神世界のもの。しかしこれらは、何らあやしいものでも不確かなものでもなく、シャーマンは確実にそれらの世界と交信している
交信が始まったとき、言いえて妙な現象が、実際に自分に起きてくる
その時、あなたがカポエイラ使いなら、ようやく気付くことができるだろう
カポエイラの歌の意味、踊りと言われたそのルーツの姿に…